ダブルスの試合中に、ペアから思いがけず、または日常的に、辛口のコメントをされていませんか。「そんなこと言うなら、この場で解散よ!」と言い放って、試合ごと棄権してしまう…のもアリと言えばアリですが、せっかくの試合、続けていくための考え方を、女子ダブルス指導20年の経験を踏まえて、タイプ別に分けて解説していきます!
大人女子ダブルスのゲーム中によくある「発散」方法としての辛口コメント
以前のブログで、「テニスの試合は、7割がどちらかのミスで進む」とお話ししました。ミスの無いテニスのゲームなどあり得ないのです。自分のミスに、状況によってはペアのミスに、ストレスを溜めるシーンがあると思います。プロの試合でも、ラケットを叩き壊すほどのストレスに見舞われることがあるのですから。
ストレスを溜めて爆発してしまうより、発散しながら自分のパフォーマンスを守っている。そう考えると「ああ、だからあの人はあんなことを言うのか」と少し理解できるのではないでしょうか。だからと言って、何でも口に出していい訳ではありませんが。
ペア(他人)は急には変えられない、自分も急には変われない
ダブルスの試合後、「ペアにこんなこと言われたの!」と憤慨している方を度々見かけます。大人女子ダブルスではよくある場面でしょう。もちろん「まあ、私もできないから悪いんだけど…」と自分の反省に切り替えている方もいますが、自分が変わるのも至難の業です。試合中、じっと耐えて、プレーが小さくなっていませんか?ペアに「そんなこと言わないでよ!」と言い返すのもアリですが、言い返したからと言って、ぺアがその後の態度を改める可能性は限りなく低いです。
「人を変える」「自分が変わる」ではない対処法、どう考えて、どう切り替えて、可能ならどう発展的に切り返すか(笑)。タイプ別に解説していきます!
言う側(ペア)側のタイプ
1.天然タイプ
悪気なく、その時その時の状況をパッと口に出します。
「ミス多かったね」
「なんで?」
「ミスるような気がした」
表情は明るく、意地の悪い感じはしませんが、地味に堪えます。
2.マウントタイプ
ペアよりも上に立ち、指示を出そうとしてきます。自分のミスは棚に上げ、
「今の決めて欲しかった」
「あなたのボールよ」
「リターン絶対返してね」
など、圧強めに言います。ぐいぐいとある意味当たり前の、「自分でもそう思ってるわよっ!」と言いたくなるようなことを念押ししてきます。
3.枠ハメ思考タイプ
自分がコーチや周囲から聞いたパターンを信じて疑わず、ペアにもそのパターンに追従することを強要します。
「センターでしょ」
「ポジション守ってね」
「さっき言ったよね」
コートチェンジで風向きや日の向きが変わったり、ゲームが長引くことで体力や気力が落ちても、変わらずポジション・パターンにこだわり続けます。
言われる方(自分)のタイプ
1.いい人タイプ
とにかく、雰囲気を守ることを大切にしていて、ペアの言うことに共感し続けます。
「こめんごめん」
「私のボールだね」
「次は決めるね」
共感していれば、相手にも伝わると考えていますが、負けてくると、「ごめん」が増え、精神的負担を負うことになります。
2.気弱タイプ
相手にガツンと言われると、引いてしまいます。
「ごめん…」
「すみません…」
「申し訳ないです…」
とにかく謝ってその場をやり過ごしているうちに、心身共に縮こまり、自分のプレーができなくなる恐れがあります。
3.我慢タイプ
文句の多いペアと組んでいるうちに、我慢することに慣れています。
「そうだね」
「言う通りだよ」
「わかった」
慣れているので、自分のプレーを守ることには長けていますが、ペアとダブルスとしてゲームを盛り上げる感には欠けます。
今日からできる、各タイプ(ペア)×各タイプ(自分)の対処方法
天然タイプと組んでいる場合
1.天然タイプ(ペア) × いい人タイプ(自分)
ペアが自分のミスに対して笑顔で「なんで?」と問いかけてくる場合、笑顔で「わかんな~い」と答えて大丈夫です。このタイプには、受け答えの内容というよりも、コミュニケーションの相手をする意思を伝えておけば、いい雰囲気のままゲームを進めることができます。ただし、しかめっ面で「なんで?」と言う方には使えないのでご注意を。
2.天然タイプ(ぺア) × 気弱タイプ(自分)
笑顔で「ミス多かったね」と言うペアに対して、自分のミスを責めているととらえてはいけません。これは、単なる事実確認。「ごめんね」と繰り返し謝っていると、ペアもどうしていいかわからなくなってくる可能性が高いのです。「そうだね!次はがんばるね!」と前を向いて返しましょう。
3.天然タイプ(ぺア) × 我慢タイプ(自分)
我慢すること、自分を追い詰めることで、集中力が増し、パフォーマンスが上がるタイプのプレーヤーが少なからずいます。自分を「追い詰めたい!」と自覚的に追い詰めるのであれば、相手に言われたことの裏など考えず、全てマイナスに受け取って、追い詰めるのも手です。
マウントタイプがペアの場合
マウントタイプ(ぺア) × いい人タイプ(自分)
「今の決めて欲しかった」。チャンスボールをミスした直後にそう詰めてくるペアには「ごめんなさい」「気を付けます」と、少し丁寧な口調で応えましょう。ミスした後悔、相手よりも下手に出ている感じがストレートに伝わるので、それ以上畳みかけてくる可能性は下がります。
2.マウントタイプ(ペア) × 気弱タイプ(自分)
「リターン絶対返してね」など、こちらが「当たり前にそう思ってるわっ」と言うことを更に上から言いつのってくるペアには、うなづくのみ、または「はい」と返事をするのみで対応しましょう。言葉にして謝り倒してしまうと、本当に自分が悪い、本当に自分の責任だ、と自分で自分を縛ってしまうことがあります。ミスをしてしまい「ごめんね」と声を掛ける以外の場面では、謝らないことをおススメします。
マウントタイプ(ペア) × 我慢タイプ(自分)
このタイプのプレーヤーはさっきは自分から打ったセンターのボールを、試合が劣勢になっだ場面で手を出さず抜かれておいて「あなたのボールよ」と言ったりします。その場合、劣勢な場面で活き活きしてくるあなたにおびえている可能性があります。驚いた体で「あ、そうなんだ。了解です」と返しておきましょう。そして、次回からは絶対にセンターは抜かれない!と心に誓ってください。
枠ハメ思考タイプがペアだった場合
1.枠ハメ思考タイプ(ペア) × いい人タイプ(自分)
「さっき言ったよね」と言われて、腑に落ちなかった場合(なるほど、と思った場合は「ごめんね」で終わりです)は、「ああ、さっきと違うと思ってたよ」とやんわり言いながら、「了解、気をつけるね」でいきましょう。認識が違ったのか…とペアに伝われば、同じセリフは出てきにくくなるかもしれません。
2.枠ハメ思考タイプ(ペア) × 気弱タイプ(自分)
「センターでしょ」など、打つコースを指定されて、それができなかった場合、「できないや、ごめんね」と言います。もちろん「できそう!」と思うことはトライするべきですが、「ここからそこに打つのは私には無理」と思うことは「できない」と言って、もし可能なら「だからまたロブ上げちゃうけどごめんね」と自分ができそうなことを伝えましょう。練習でもできないことをやらなきゃと試合中に考えるのは無理なことです。
枠ハメ思考タイプ(ペア) × 我慢タイプ(自分)
「ポジション守ってね」と言うタイプは、状況に関わりなく、この場合はこのポジション、この場合は…と、形でポジション取りを考えています。我慢ができるのでしたら、「この場合はこうだね」と確認をしましょう。自分が考えているポジションをペアが理解してくれていると思えることが、このタイプのプレーヤーにはとても重要なので、いい関係が築けます。
よくある質問
Q:ペアのミスが続き、「ドンマイ」と声を掛けるも返事はなく、険悪な雰囲気になったら?
「辛口のコメント」も困りますが、沈黙も何だか不穏ですよね。
いい人タイプ・気弱タイプ→変わらず、笑顔で声掛けを続ける
沈黙に耐えられないと思います。返事が無くても、声掛けを続けましょう。
通常と変わらず、変わらない文言で、変わらない頻度で。
それが、あなたのペースを守ります。
我慢タイプ→声掛けをやめてみる
緊張感が上がりますが、ペアから声掛けが再開されるまで、緊張感を高めてみましょう。
ペアがその状態に耐えられなくなると思います。
Q:知り合いから、よくペアの辛口コメントについて相談されます。でも、どちらも知り合いで、肩を持ちたくありません。どのように答えればよいでしょうか?
相談している人は、解決(ペアの解消とか、誰かに説教してほしいとか)を求めている訳ではなく、共感してほしいのだと思います。なので、基本は「そうだよね」と頷くこと+相手の話の内容を「何度も言われたら厳しいよね」などとなぞっているうちに、収まってきます。この時、「〇〇さん、本当に嫌だよね」など、名前を入れたり、「その人」を否定せず、起きている現象を話題にすることがポイントです。
まとめ
今回のポイント3つ
1.ペア(他人)は急には変えられない
2. 自分も急には変わらない
3. 変えられない前提で、自分のパフォーマンスを守る
人を変える、自分が変わる、どちらも至難の業です。
現在の状態で、ベストなパフォーマンスをするために、ほんの少しペアを観察して、自分と向き合ってみてはいかがでしょうか?
これが、大人女子ダブルスの近道です!

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